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鹿児島県 屋久島
第1 島の概況
屋久島は行政区域としては、北側の上屋久町と南側の屋久町の2町に分かれる。しかし、本稿では、両町を1つの地域と考え、特に断りのないかぎり島全体を考察の対象とした。
1 自然条件
(1)地形
屋久島は鹿児島県大隅半島の佐多岬の南南西約60?qに浮かぶ(図表1)。面積は504.8?qで、日本の有人島中第4位である。東西28?q、南北27?q、周囲は約130?qで、ほぼ円形である。九州最高峰の1,935mの宮之浦岳を中心に1,000mを超える30余りの峰々がそびえ、「洋上アルプス」とも呼ぶ。地形は急峻で、平地が少ない。
(2)気象条件
この特異な地形は、この島に沿岸部の亜熱帯から山頂部の冷温帯まで多様な気候分布をもたらしている。「屋久島はひと月に35日雨が降る」といわれるように、山頂付近の降雨量は多い。豊富な水が島のあちこちで雄大な滝を形成している。
(3)動植物の垂直分布
屋久島では亜熱帯から亜高山帯までの植物の垂直分布が見られる。例えば、海岸付近はアコウ、ガジュマルなど亜熱帯植生、海抜1,000mまではスダジイ、アカガシなどの暖帯植生、1,800mまではモミなどの温帯植生、それ以上はヤクシマシャクナゲなどの亜高山帯植生である。林相は、1,000mまでは常緑広葉樹の照葉樹林帯、1,000m付近から1,800mまではスギ樹林帯である(図表2)。なかでも、樹齢数千年といわれる縄文杉(写真1)などスギの巨木群と、それを包む豊かな森は貴重な財産である。植物の種は1,900種以上に及ぶ。島固有の植物が94種あるほか、南限種が200種以上、北限種も多数ある。苔類は600種に及ぶ。
こうした変化に富む植生から成る豊かな生息環境によって、小さい島としては動物相も豊かである。哺乳類はヤクシカ、ヤクシマザルなど4種の固有亜種を含む16種、鳥類はヤクシマアカコッコ、タネコマドリなど4種の固有亜種を含む150種が確認できる。
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